他流試合

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自分と異質な発想の持ち主と付き合ってみると、「へえー、そんな面白い考え方があるんだ」という、思わず感心させられることがある。また、あえて自分のことについて尋ねてみたら、よくわからなかったことを知らせてくれたり、自分がやるべきことのヒントを教わることもある。人は誰もついつい見慣れた顔の連中と言い慣れた会話をして過ごしていたいもの。しかし、いつもの仲間たちとばかりつるんでいると、そばにいてくれるだけで安心感はあるものの、ものごとを別の角度から見ることがなくなり、ものの見方の幅が狭くなってしまいがち。いつの間にか好き好きの偏った価値観に染まって、新しい発見のチャンスを失って成長できなくなる危険性が高まる。

つまり落ち葉が積もって腐葉土になるように、様々なもの同士が混じり合うことで、これまでになかった化学反応が発生し、自分の個性にふさわしいセンスが生まれる。自分とまったく異質な人間とぶつかりみることによって、がんじがらめ縛られた固定観念を変えてみよう。自分自身のえり好みが強い生き方をしていると、どこか線が細くて弱々しい人間になりやすい。純粋培養のままでは強い個性に育つことはないのだ。時には他流試合をすることで視野が広がって目から鱗が落ちる。自分にとって楽しいや面白い以外の世界にも目を向けること。いろんな価値観があることをよく知ることで人間力の豊さは増す。どんな人からでも何かを学ぶことができるはずだ。上辺だけでものごとを判断するのはやめて、お互いの違いを認めて寛容さを育もう。

■ココロの月 2019年9月22日(日)~29日(日) 11:00-18:00 出展作家 加藤智子、村上真実、大和佳太