他流試合

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美術館という場所へ一歩入り込むと、そこは海外に行ったような異国の気分が味わえる。また、ある時は古へタイムスリップしたように、歴史に由来のある品々を堪能できる。そして、今現在を象徴する作品と出会えた時は、あまりにもタイムリーなため、簡単には言葉にできなくてもどかしくなる。このように美術館は美術の数だけ展示できる種類がある。いろんな世界観を楽しんだり面白がったりできる感性の採掘場なのだ。さまざまな表現に触れて、いろいろな視点から感性を磨いて、人生の豊かさを発見する力を養うために存在する。

だからなんとなくピンと来ないものや、あまり好みではない展覧会であっても、自分の感性を試すために観賞することが大切だ。自分にとって好きな作品ばかりを選んでいると、たしかにリラックスして観ることはできる。ただし、このスタイルに固執すると、無難でありさえすればいいになって、いつの間にやらマンネリズムに陥っていく。同じようなタイプの作品観賞を繰り返し、惰性的になって美術への新鮮味を失ってしまうだろう。

これまでの自分になかった感性を求めていく。いつも見慣れている作品ではない。今まで観たことのない作品にトライしていこう。別の角度から視点を持つには、違う感性を刺激してやること。身に染みついた感性を変えるためには有効だ。例え異質に感じるような作品でも、みだりに否定的に思わないで、少しずつ近づいて観察すると思わぬ発見がある。他流試合を重ねること。これによって鑑賞能力は高まり、幅広い視野で美術と付き合える。時には失敗をするかもしれないが、それもまた肥やしになって成長できるはずだ。