大胆不敵

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昨日、ひさしぶりに親しい22歳の若者がやってきた。相変わらず入店するなり、ややうつむき加減で背中を丸めながら、こちらへのそのそと近づいてくる。その様は如何にもここにいることが場違いだと言わんばかり。それは身の丈がどれくらいなのかを理解しているというより、身の丈がどれくらいなのかをわからなくて、どう立ち振る舞っていいのかがわからないだけ。一般的に世間知らずの若者と思われるかもしれないが、実際は美術の良いところばかり見ようとする謙虚さの表れだ。そう、どんな美術作品もでも良いところが必ずやあるもの。それくらい美術の世界は素晴らしいと純粋に思い込み、微力ながら一員になりたいと本気で考えている。本当に彼女のような人には天然という言葉が似合う。ただ自然体に真正面から美術へ向かっていく姿は素晴らしい。やはり若者の真剣さには学ぶべきものがある。ひたむきさこそ最大の武器になるのだろう。

そんな彼女と約3時間ほど美術について語り合う。途中、接客のために何度か会話は中断したものの、会うたびにパワーアップしていく熱量に押されて、とにかく一生懸命やっている勢いに圧倒されてしまった。まだまだ知られざる能力を発揮する可能性を持つ。やはり余計なことを知らないのは一番なのかもしれない。美術の知識や経験は乏しくても、やる気があればなんとかなる。知らないからこそ思い切り踏み出せる一歩があるのだ。怖いもの知らずの大胆不敵な行動は、新たな価値観を創り出す挑戦へ繋がっていく。ちょっとしたことでも好奇心は刺激され、世界観を広げていく原動力が生まれてくるのだ。彼女との会話した後にこのようなことを考えながら余韻を楽しむ。若者らしい守りより攻めの良さを肌で感じた。素敵な学びをありがとう!燦燦とした若いエネルギーに感謝する。