万理一空

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万理一空」とは、どこまで行っても同じ世界で、すべての理は天に通じていることをいう。転じて、どこまでも同じ一つの目標を見据えて、たゆまず努力し続ける心構えを表す。この言葉は剣豪・宮本武蔵が長年の精神修養や身体の鍛錬を没頭して辿り着いた境地である。つまり世間の様々なことに惑わされず、いつも凛とした姿で目標を見つめて、同じ気持ちままでいられること。とことんやるべきことにこだわって、創意工夫を繰り返しながら、自分らしさを育むことの大切さを説いているのだ。

ところで、ただいま個展開催中の臼杵さんの名前にはこの「万理」という二文字がある。詳しい名前の由来は知らないけれど、おそらく一つのことに精進することを期待して名付けられたのだろう。彼女は彼女による持ち味を求めて、それこそあらゆることに首を突っ込み、時には人一倍苦労を買いながら努力する。創作とは決して効率よくやるものではない。多くの試作をやり続けることによって向上していく。無駄のようなことの繰り返しが作品の味わいを深めていく。彼女が美術家になりたいという目標へぶれずに進めるのは、その名から真理を感覚で理解しているのかもしれない。世の中のいろいろな雑念や誘惑に負けず、それらを克服してただ集中しているのだ。どうかこのまま遙かなる夢へ向かうことを祈っている。その天性の明るさで道を照らしながら創作していきましょう!

臼杵万理実 作品展 2020年4月10日(金)~26日(日) 11:00-18:00 火水定休