努力の天才

ほとんどの人が美術の才能とは、生まれつきのものではない。やり始めは大したことができなくても、努力さえ怠らなければ、個性的なものが磨かれていく。例えば長いトンネル工事であっても、徹底的に掘って掘り抜いていけば、最良の条件で貫通することができる。同じように創作に最善を尽くして取り組めば、心身ともに研ぎ澄まされて鋭くなっていく。

それ故に、先天的な才能が平凡であったとしても、非凡になるまで粘り強く推し進めればいい。いろんなことを挑戦していきながら、後天的な才能を信じてやり続けていくのだ。人の能力は皆ほとんど同じぐらい。だのに違いが生じるのは、それぞれの習慣によって変わる。小さいことでも疎かにすることなく、丁寧に積み重ねる意識が大切になってくる。
 このたびの臼杵万理実さんの作品展。彼女と知り合って丸13年経つけど、これまでにないくらいいい感じである。ここ数年、その片鱗は垣間から見せていたが、ついにベールを脱いだというのか、カラフルな色彩とリズミカルな線によって、不思議な世界観が表現されている。才能の壁とはやる気で打破すればいいと、そのパフォーマンスで示してくれた。ただし、ここがゴールじゃないから、さらなる創意工夫に期待する。このままのペースで頑張ったらいい。