貫く

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岡本太郎さんと言えば、絵画や彫刻だけではなく、数々のエキセントリックな言葉で、想像力を刺激し続けてくれる芸術家。たった一言で重々しい俗世の壁を取り払って、摩訶不思議な空気が漂う世界へ導いてくれる。一瞬にして世の中の常識からはみ出して、常識に縛られていたことが馬鹿馬鹿しくなって、自分らしい気持ちにリセットするパワーがある。心のうちにある豊潤な感性を目覚めさせて、人生に必要なものを発見できるようになるのだ。

昨夜、太郎氏の本を読んでいると「ルール」という詩があった。「ルールは一応守らなければならない。しかし、ただ大勢の人たちが守っているから、自分も従っていくという意思のなさではなくて、ルールは守ると同時に、内なる自由、抵抗をつねにもっていく。そのような大らかで激しい心を、人間的な誇りとしてもたなければいけない」。

この詩は、私にはGWをステイホームで過ごすための原理原則のように思えた。なぜなら、みんながやっているから釣られてやるのではない。みんなと共に生き残るために安全第一に行動する意識が大切なことなのだ。しっかりとルールは守った上で、家の中で自由に過ごすことに工夫し、いつも暗さに負けずに明るく暮らすことだ。とにかく、今こそ原点を振り返ってみよう。太古の昔から人類は生き延びた歴史を鑑にして、知恵と想像力とフルに活用して生きていこう。どこまでも燃えていきましょう!というように詩を解釈している。このような考え方は正しいのかどうか?おそらく太郎氏に尋ねたら、「本気でそう思うのなら、その通りに貫いてみろ!」と、鼻にもかけず、涼しい顔で言うだろう。自分を賭けることで力が出てくる太郎イズム。とことん純粋に貫いていくことを奨励するはずだ。