くつろぎ

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3月上旬、とにかく心を落ち着けて、ゆっくりとやっていこうと決意した。これまでも自然災害や経済危機に見舞われて、厳しい経営状況に陥ったことは何度もあったが、今回は過去に類を見ないことなので、開き直ることが大事だと思った。たしかに長い歴史をひも解けば、同じようなことはあるものの、このような社会構造になってからは初めてで、この先どうしたらいいのかは誰にもわからないこと。どんなに急いでも仕方ない時には、ゆっくりと動くことに限る。ただし、この場合のゆっくりは景気がよくなるまで待ってみようではない。ゆっくりと問題を解決していこうという意味である。孤軍奮闘、たった1人でジタバタしたところで上手くいくはずはない。だから世の中の流れに見極めながら、時間をかけて打開策を練ることを心掛けていったのだ。

そして、これから展示を予定した作家たちと膝を突き合わせて相談をする。4月までのスケジュールは動かしようがないので、それ以降について話し合い、今現在考えられる最善の策を模索する。その結果、3つの作品展が延期して、約1ヶ月間ほど臨時休業することにした。財政面ではいっぱいいっぱい。しかし、私の仕事は展示する人も観る人も気持ちに少しは余裕がないと成り立たない。緊急事態宣言が解除されてからオープンするしかなかった。

そんな苦渋の決断を寛容にあたたかく見守ってくださった皆様に心よりお礼を申し上げます。また、変則な作品展のスケジュールにならざる得ない状況の中で、前向きに取り組みに賛同してくれた岸透子さんに感謝しています。今後もまだまだ予断の許さない状況は続きますが、多くのエネルギーを頂戴してなんとかやっていけそうです。やはり美術作品は肩の力を抜いて、楽しく観ていただくもの。同じくやる側も力を抜いて、楽しい雰囲気をつくっていくもの。くつろぎの時間への心掛けこそが大切なのでしょう。この機会にもっと学んで美術への愛を高めていきます。