独創性

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ピカソの名言に「この年になって、やっと子どもらしい絵が描けるようになった」がある。これはピカソの父が画家だったため、小さい頃から巨匠たちを模写をするなどの手ほどきを受け、子どもらしい絵を描かなかったことから生まれた言葉だと言われている。

実際のところはさておき、私なりこの言葉を聴いて思い浮かんだことは、たとえ上手くない絵であっても、自分の感性でひらめいたものなら、独創性のある表現になるだろうだ。美術はどこかで習ったり勉強したりして、それなりのセンスや技術を身に付けていくもの。いわゆるこれぞオーソドックスな創作活動の歩み方だ。そのため、この道を行く人は前にも後ろにも多くいて、みんな歩んでいるから素晴らしい場所へ行けると思い込みやすい。しかし、よくよく冷静に見つめ直したら、自分ひとりでこしらえたものではない。先人や先輩たちの美の結晶に依存して、どこか他力に助けられて、借りものになっていないのか。

だからこそ、原点に立ち返ってみることが大切なのだ。子どもの時のように自分の気が向くままに歩んでみよう。自分しか通りたくない道を探していく。勝手な思い込みと紙一重になるが、これぞ好奇心をかき立ててくれる、日常の大冒険と言われる道くさの大原則だ。ほとんどの人は通ろうとしないから、ドキドキワクワクしながら歩める。つまり、模倣ではアレンジすることはできても、オリジナルを創り出すことはできない。それゆえに、少し美術の常識から外れている感覚を活かし、下手でも愉快な作品を制作して、自由奔放な世界観を表現していくのだ!