話し合い

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「尋ねる者は山々を越えて行くだろう。尋ねない者は平野でも道を失うだろう」というトルコのことわざがある。たしかに、現代のような複雑化している社会で生きていくには、ものごとの根本に関わることについて話したり、標準的なことを聴いたりする必要性が高くなってくる。これはどういうものなのかを理解するために、しっかりと質問して聴き取る力がなくてはならないはずだ。それなのに、よく知らないことがばれてしまうことを恐れて、如何にもわかったようなふりをしたり、その場しのぎでネットで調べて知ったような顔をしたりする。いずれも様々なこと話し聴くことを軽く見ていて、自分の頭で考えようとする意欲に欠けている。何かを話し合って深く掘り下げようとはせずに、ただただ話題を流して暇つぶしになればいい。そうやっていると、例え真っ平ら道であっても、歩くことができなくなるだろう。

ちなみに私はわからないことは素直に質問するタイプ。なぜなら、すべてのことを知ることはできないし、世の中は常に変化するから、これまでとは違う見解なんて当たり前。ましてや美術の世界は似て非なるものばかりで、コンセプトは人それぞれ違うからよく話し合わないと、ボタンの掛け違いなることも多い。それよりも話し合うと考えたこともなかったことが飛び出し、思わず背中をのけぞるほど感心させられたりする。そう、いろんな視点から作品に触れるために、作者や鑑賞者と美術談義することによって、面白さや楽しさは倍増してくる。だからこそ、雄大な美術の山々を知恵を出し合って、素敵なルートを見つけながら歩むこと。本質を肌で感じながら想像することが大切になるのでしょう。