味わう

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「人生は書物のようなものだ。愚かな人は雑な読み方しかしないが、賢い人たちは丹念な読み方をする」という名言がある。この言葉に触れて日常を振り返ってみた時に、私自身は大丈夫なのかと考えさせられる。なぜなら美術作品について語り合うと、この作品はこういう観方があると教えてもらうこともあれば、自分の先入観が邪魔をして雑な観方だったことに気づかされる。また、作品の表層的なものばかり気を取られて、作者のメッセージやコンセプトなどを見落とし、作品全体の意図を掴み損ねてしまうこともあるのだ。

だからいろんな方の美術評論や解説を聴いていると、「なるほど、そうなんだ」と共感して作品の面白さが増えていく。そう、自分がわかったつもりだったことを反省させられたり、新たな魅力が発見することで豊か気持ちにしてくる。つまり、他力を活かして人生を明るくしていくこと。自分自身の在り方を確かめるために鑑を求めてみる。何でも完璧にわかったと思い込まずに、自分の好奇心を伸ばして楽しむために、いくつもの鑑によって味わい深い人生にしていこう!