「年をとるにつれて、人が言うことには以前ほど注意を払わなくなった。人の行動をただじっと見ることにしている」という名言がある。
なるほど、共感する言葉だ。なぜなら私も50代になってから、その人の言動より行動を注意深く見ることが多い。特に近ごろの若者の中には、情報社会で弁舌が洗練されているため、話しだけを聴いていると能力を見誤りやすい。実際はよく知らないことでも、どんなことにでも理屈はつけられるので、如何にも知った顔をして屁理屈を語ってくれる。その堂々とした立ち振る舞いに、初対面の人なら巻き込まれるだろう。
私は語っている人の言葉より目や表情などを観察している。それはいろんな人たちとのやり取りするうちに、音声が正しくても視覚的にピンとこなければ、違和感を感じるようなった。身振り手振りの雰囲気から伝わるものを重視している。つまり、所作にはどういう生き方をしていたのかが表れてくる。言い換えれば、生き様が集約された文化なのだ。だから所作には気を付けなければならない。もちろん、私にも言えること。正しい行動に心掛けて、美しいものを身に付けたい。
