へうげもの

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今週のEテレの番組 先人たちの底力 知恵泉(ちえいず)で取り上げたのは、戦国から江戸の時代を生きた美濃の武将でありながら、数寄(風流・風雅に心を寄せること)の道を究めていた古田織部千利休の弟子になって、茶の湯の世界と真摯に向き合い、独特の感性を惜しげもなく発揮することから、へうげもの(ひょうきん者)とも呼ばれていた。

そんな織部は利休のこだわり、「人と違うことをすることこそが数寄である」という、他の人はその人自身の価値観や個性に尊重し、自由に茶を演じるべきである信念に従い、決まったルールをあっさりと破り、自分の感性を信じて行動した。これまでのルールにとらわれず、新しい独特のセンスを発揮して、数寄の真髄を究めることにすべてを注いでいく。そして、ついには茶の湯の道具にも深く関わるようになり、自分の好みに合った茶器をプロデュース。一つとあって、二つと同じものを作ってはいけない。一つ一つの焼き物に個性を持たせるように陶工に指示して、あえて歪ました器や自由度の高い抽象的な絵付けなどで独創性を重んじて、唯一無二の逸品を求めたのだった。

この番組を見ていると、約400年前の人物とは思えないほどの斬新さがある。茶の湯の世界の本質を押さえながらも、絶妙なセンスで許容範囲を広げて、上手く個性的にはみ出していく。今でも十分に通用することばかりで、とても勉強になる内容だった。ところで、先週末に臼杵万理実さんは毛利博物館(防府市)で、紅葉で色づく庭園の中にあるものをモチーフに作品制作するワークショップを行った。彼女曰く、参加者それぞれが積極的に見つけ出す、ユニークな世界観はとても面白くて勉強になった。みんなにエネルギーをもらえてよかったと語り、自分の創作意欲に結び付けていた。