虎に翼

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「虎に翼」ということわざがある。これはもともと強い者や勢いのある者に、さらに威力が加わることのたとえである。

10数年前に英国の70歳を超えた現代美術の巨匠が初めてデジタルドローイングを制作する。彼にとってiPhoneの機能はとても使いやすく、ベッドから出なくても幅広のラインで多種多彩の色を選びながら、スクリーン上に直接モチーフを描くことに成功した。この年齢で新しいことに挑戦して、制作の幅を広げていくことは、好奇心や探求心が失われていない証拠であって素晴らしい。だけど、若い美術家にすれば立ちはだかる壁が、さらに高くなったわけだから、ある意味、とんでもない話しだと言わざるを得ないことだろう。

それはさておき、近年、私の周辺でもデジタルを使って作品制作する美術家が増えてきた。それに伴ってデジタルで表現された作品を愛好する人たちも増加傾向。実際に描いたものにはない質感や色味の面白さなど、既存の平面表現では味わえない世界観が広がっている。やはりこの世の中の環境は常に変化していくもの。先に述べた巨匠ではないけど、すぐれた人物はチャンスになるものはないかと、ものごとのわずかな変わり目を見逃さない。虎視眈々としている。未来へ冒険するために一番最適なアイディアを狙っているのだ。