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連チャンで、NHKの情報番組「あさいち」に出演した作家 原田マハさんが特選エンタのオススメ書籍のコーナーで語ったことを書き綴る。それは原田さんが3冊目に紹介したミステリー・サスペンス小説「ダ・ヴィンチ・コード」と出合いのこと。実際にあるルーブル美術館を舞台に、モナリザの前で起きる事件を解決していくという、奇想天外なストーリーの展開に「こういう物語を書いていいんだ!」と大きな衝撃を受けて、フリーランスのキュレーターから作家の道を踏み出し、アートミステリー「楽園のカンヴァス」を執筆して地位を確立したのだった。
美術史に基づいた物語は、実在するものを引用していくため、そのことを詳しく調べる必要がある。10%の史実をしっかりと固めて、その上に90%のフィクションを塗り固めていく。つまり、小説は底支えになる史実が濃くなければ、構築したフィクションを乗せた時に、グラグラして物語は成り立たない。割合的には少ないけれど、強力な土台がなくては、読者を熱狂させることはできない。小説は読者にとって、良き入り口であり、良き出口でありたい。小説の中で実在するものを知るうちに、本当にあるから行こうと出かけて楽しむ。現実の世界と物語を地続きになることを指針に活動していると語った。
この番組を見終わり、小説とは如何に史実と創作のバランスが肝心だとあらためて再認識する。どうやって物語にリアリティーを感じさせるのかにこだわり、歴史上にあったことをよく調べて、それを上手く使い意味合いを深めるからこそ、読者の想像力を膨らませることができるのだ。美術家も同じように素晴らしい創造を生み出すために、土台にあるものをどうするのかがポイントになる。そのための基本を学ぶことができた。今夜も余韻に浸って復習する。