道楽

「道楽」とは仏教に由来する。それゆえ悟りを得るためにすべてを投げ打つことを意味する。平々凡々と普通に生きていたのでは、到底達することができない領域を求める。どんなに辛く苦しくても、すべてが修行だと受けとめて努力していく。この世で一番よくわからないのは自分自身のことだ。あちらこちら頭をぶつけながらチャレンジしてみよう。いろいろなことをやっていくうちに、自分はこれには向いていないとか、これには向いているとかがわかってくる。この境地をわかりやすく言えば、勉強をすればするほど知識が増えて、理解力が上がっていくことで、視野が広がり発見が増えて、日常が豊かになっていくことを言うのだ。

美術家も道楽に生きられるように創作していく。ただし、これは世間一般で言う本職を忘れて、好き勝手に遊び呆けて放蕩することではない。仏の道を求めて修行に励む禅僧のように、創作のためにすべてを投げ打って美術と向き合っていく。美術家になるためには、一般の人と同じような生活は捨てて、美術の世界に没頭しなければならないのだ。つまり、美術家も修行僧も積み重ねである。ひとつひとつのことと向き合うことで人生に意味が出てくる。才能があるかより、自分の能力を使えるかどうかによって道を切り拓く世界。だからこそ、決して本筋からはみ出さないように、見栄を張らずに純粋な気持ちで創作していこう!