夢のセールスマン

8年前、近くの商店街であったイベントで似顔絵を描いていた駆け出しのイラストレーターと出会う。一見からして尖っていて、実際に話してみると、額面通りギザギザしていた。馬鹿みたいにデカイ夢を見ていた。世間知らずの痛々しさが印象的だった。そういう発想では絶対に無理だよと教えてあげるのが、大人としての正しい所作なのだろう。だけど、私も同じ馬鹿だったから、「いいぞ!」と嬉しくなって、思いっきり煽ってしまった。

とにかく、こういう常識も正論も通用しない人物は、新しい偉業を大胆に成し遂げていくか、はたまた道を外れて自滅するかの二通りしかない。もちろん、その確率は五分五分なんて甘いものではない。およそ9割の人は自惚れたことを後悔させるべき代償を支払うことになる。常識の壁を超えることができずに、厳しい洗礼を浴びてカッコ悪く失速していく。根拠や客観性のない単なる思い込みでは、上手くいかないことを肌で実感するしかないのだ。

しかし、若者には誰にも負けることがない情熱を持っていた。自分の才能はまだまだこんなもんじゃない。もっともっと可能性があるはずだ。どこまでも信じることで、あらゆる可能性を見い出す。周囲の人になんて言われてもいい。自分自身が思った通りに突き進んでいく。そんな無謀なやり方ができたのは、常に情熱の炎を燃やし続けたから。その人を過剰とも言える意欲が動かし、世の中も動かし変えていったのだ。これから、もっともっと驚かせてくれるだろう。一心不乱に憂いなし。向上心を刺激し続けて、昇りつめることを期待する。夢のセールスマンとしての使命を果たし、大きな世界でカッコよく活躍していこう!