諸君、狂いたまえ!

8年前、NHK太河ドラマ『花燃ゆ』の中で、話題になった名台詞と言えば、松陰先生が塾生へ向かって叫んだ「諸君、狂いたまえ!」。この意味は大きなことを成そうとするならば、一つのことへまっしぐらに進むべし。どんなに不可能だと言われきたことでも、愚直な行動力で突き進む熱量があれば、新しいことを動かす力を生み出すはずだ。

これまでの常識や正論、道徳なんて気にすることはない。自分の信じる道を積極的に突っ走って、何ごとかを進み取ることに鋭せて、一つ一つのことを一生懸命やるだけだ。松陰先生は自分自身を狂人だと言っていた。それは困難なことに直面したとしても逃げずに、馬鹿正直にすべてをさらしながら可能性を信じて生きる意思表明である。

先月、臼杵万理実さんの個展の搬入の時に、彼女の雰囲気に目を点にさせられた。要するになんとも形容しがたい動きで作品を持ち込む。聞けば徹夜で寝ていないとのこと。そのおかげでランナーズハイのようになっている。創作への過剰なほどの情熱が彼女を動かし、最後の最後まで絵を描くことに没頭させた。周囲にたとえ『狂人』と言われてもやり切る覚悟があるからだ。本当にすげえって思った。