人生はつくるものだ

昨夕、閉店後に湯田温泉中原中也記念館へ参上し、開幕したばかりの特別企画展「坂口安吾中原中也――風と空と」を鑑賞する。実は坂口安吾のことは名前を知っている程度で、恥ずかしながら作品については全く知らない。そこで、この機会に図書館で著書を借りたり、NHKオンデマンドで過去の番組を視聴して、必要最低限の予備知識を学んでみた。
すると、頭の中にすいすいと入ってくるから面白い。まだまだ不十分でにわか知識だけど、それでも独特の荒唐無稽な表現にひるまず、自分のペースを保ちながら触れていける。そして、矛盾を矛盾としてその存在を肯定し、ユーモアさえ感じてしまう語り口調の文字には、読み終わった後に余韻が残り、複雑な思いがそこにあることに気付かされていく。
いわゆる文化芸術は自分の取り組む姿勢で関り方が変わってくる。どうやるのかは各自の自由だけど、身の丈に合ったものなら、好奇心を掻き立ててくれるだろう。だから、たまたま目に入って来たものとの出会いを大切にしていく。思い込みや先入観に縛られないで、何ごともまっさらな気持ちで接すれば、世の中の美しさは変わって見えてくる。これからも安吾の「人生はつくるものだ。必然の姿などというものはない」という言葉のように、自ら積極的に学んで豊かさを目指していきたい。