耳学問

耳学問とは、自分で修得したものでなく、人から聞いて得た知識。聞きかじった知識のこと。いわゆる若い時代は見たり聞いたり行ったりすることで得られる経験は少ない。そこで、自分の志す世界の先駆者や先輩などから役立つ知恵を授かることが必要になる。積極的にいろんな方々に会いに行って、その分野について詳しい人に教えを請うことで、一番大切なことの核心を短時間で学ぶことができるのだ。

ちなみに、伝統工芸の世界は門外不出の観念が強いあるため、創作手段や技法について文章に残すことはなかった。なぜなら、極意が盗まれたり真似されたりすることを恐れていたからである。それともうひとつ理由があって、投げかける言葉によって知的好奇心を刺激することで伝承していく。その世界を熟知しているものの言葉によって、創造力を搔き立てることで感性の豊かさが育まれていくからだ。

 それ故に、同じような内容を語ったはずのに、発する人の能力によって習熟の差が生まれやすい。だからこそ、自分自身の才能を向上させるために、これぞと思える人の元へ出かけて、切磋琢磨しながら高め合おう。相手の言うことを考え、尊重して、何かを教えてもらおうという開かれた心で人と接すれば、心を通わせながら楽しく学ぶ機会になるだろう。