老年と青年

ヘルマン・ヘッセの著書に「老年と青年とはお互いに友だちになることはできるけれど、彼らは二種類の言葉を話すのである」という言葉がある。これは、いつの時代も青年は新しい流行に敏感で、旬な話題をたくさん提供してくれるので、とても刺激的な時間がわかち合える。けれど、それは老年にとっては都合の良いこと。青年の立場からしてみれば、一緒にいることのメリットは特にない。なんとなく微妙な関係になるのだろう。
だからこそ、親しき中にも礼儀あり。適切な距離感に気を付ける。青年が若気の至りで暴走したり、実践や経験の不足で悩んでいる時に、最善の知恵を絞り出し、あたたかいエールで励ますことで、必要とされてくる。いわゆる青年は血気盛んで、単純な思い込みを武器にして、世の中に体当たりで挑戦しやすい。それゆえ、走り過ぎないようにブレーキをかけ、安全運転になるように声をかける、お目付け役として老年の出番になるのだ。
 近年、私は素敵な老年を迎えられるように努力している。大らかで寛容さのある老人を目指す。しかし、今のところはまったく出来ていない。青年に負けないくらい、何かに感激したり、共感したり、興奮したりしている。まだまだ血の気が多いから、上手く悟ることができないまま。とは言え、還暦まであと2年!年寄りの冷や水にならないように注意しながら、新しい文化を豊かに楽しめる老年を目指す。やさしい老人になりないな。