我思う故に我あり

ここ最近、事前にネットなどで展覧会の内容をよく調べてから足を運ぶ人を時々見かけることがある。それはそれで決して悪いことではない。ある程度は知っていた方が、より深く作品を楽しめる。とは言え、問題点を挙げるとすれば、情報によって善し悪しを決めている。評判の良い展覧会というキーワードを盲目的に信じて、誰から発しられた不特定の情報に便乗しているだけ。要するに自分の頭や感性で選別したものではない。素晴らしいと言われるものを追っかけていれば、素晴らしい鑑賞者になれるわけではない。人は思うよりも単純にはできていないことを知った方がいい。

つまり、想像力とはいろいろとある雑多なものから抽出した究極の発想のことだから不純物は含まれない。自分にとって好きか嫌いか、面白いかつまんないかで判断していく。しかし、それらを瞬時に判断するの至難の業。自分の実際の乏しい経験では、何が最善なのかはわからない。はじめからこれは美しくてこれは奇抜なものなんて、すぐに正しく答えることができないから、何度も味わって考えることが大切なるのだ。つまり、情報だけに依存していると、自己を喪失しかねない。常に信頼できる仲間と語り合って、自分らしい個性とは何かを、見つけ出していけばいい。