チェシャ猫

ふしぎの国のアリス』とは、幼い少女アリスがおかしな白ウサギを追いかけて不思議の国に迷い込み、しゃべる動物や動くトランプなどさまざまなキャラクターたちと出会いながら、その世界を冒険していく物語。
その中でアリスが出会ったチェシャ猫に「教えていただきたいのですが、ここからどっちへ行けばいいのですか」と尋ねると、猫は「それは、君がどこへ行きたいかでほぼ決まるな」と答えた。そこでアリスは「わたしはどこでもかまわないの」と言うと、「それならどっちでもかまわないな」と猫は不愛想に言い放つ。アリスはめげずに「どこかへ辿り着きさえすればいいの」と、問いただしたら、猫は「そりゃあ、辿り着くとも。辿り着くまで歩き続けさえすればね」と、端的に自助努力を促したのだった。
 なんとも奥深いやり取り。なぜなら人は誰でも上手くいくために進むべき目的地がわからずに生きている。たしかな答えなんて持っていないし、これぞという確証なんてなく生きている。つまり、辿り着くまで歩き続けるしかないのだ。もちろん、必ず辿り着けたかどうかは未来が決めることなので、ただただ今できることをやり尽すだけである。美術家も同じこと。美術家になれるまでやり続けていくのみ。好奇心と探究心を羅針盤に最善を尽くそう。未来の自分を信じて創作することが大切になるのだ。