幸福の七か条

漫画ゲゲゲの鬼太郎でおなじみの水木しげる氏が「何十年にもわたって世界中の幸福な人不幸な人を観察してきた体験から見つけ出した、幸せになるための知恵」として、まとめられた『幸福の七か条』。この七か条はいずれも創作する人にとって参考になることばかり。美術という摩訶不思議な世界に生きるものに、様々な知恵を授けるバイブル的な存在だ。

その第一条は「成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない」、第二条の「しないではいられないことをし続けなさい」、第三条の「他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追及すべし」の3つは、あたたかいエールのようなもの。世の中の価値観に合わせて称賛を得ようとすればイタチごっこ。いつも神経を過敏に尖らせて消耗するだけ。それより好きでやるのだから開き直り、上手く出来るかどうかよりもひたむきさを大切にする。

 要するに第四条の「好きの力を信じる」である。さらに第五条の「才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ」と付け加える。好きでやる以上は本心に従い、金銭面で報われなくても悲観せず、創意工夫していることに誇りを持つ。そこで、第六条の「怠け者になりなさい」。無駄だと馬鹿にされても気にするな。愚直さは武器だ。まだ誰も見たことのない未来に夢が叶うと信じて突き進む。第七条の「目に見えない世界を信じる」とは、夢は諦めなければ見えてくるという意味なのだろう。