猫は長者の生まれ変わり

ユーモアによって生まれてくる笑いは心地いい。明るくプラスのエネルギーが満ちている。その場の雰囲気を和ませて、まわりの人たちと一緒に笑顔になれる。ただ人を笑わいを取るのではなく、そこには品格や気遣いが必要になる。やさしく鼻先をくすぐるような気持ちよさがあって、柔らかな空気感で身心ともに伸びやかにしてくれる。

劇的に役立つことはないかもしれませんけど、やっぱりユーモアは人生に面白さを創り出す。日常のありきたりな場面で、常識や知識だけでは面白くも可笑しくもないことでも、ちょっとしたユーモアが加わることで、一変して面白くて愉快に雰囲気に包まれる。形のない不思議というものを体験し、知性が活性化されて明るくなるのだ。

ところで、このたびの猫展でユーモアな表情で来場者をもてなす作品がある。陶芸家  伴善雄君、裕子さんご夫妻が制作した朗らかな猫たちだ。人は自分と似たものに惹かれやすいと言うように、自分の好むセンスを無意識の内に作品へ盛り込む。その人にしかないエッセンスを加えて、独創的な味わいを深めていく。そんなお二人の人柄を肌で感じる作品を観ていると、自然と頬が緩んで愛くるしい気持ちが育まれてくる。ことわざの「猫は長者の生まれ変わり」ではなく、猫で長者に生まれ変わることを祈る!