球ひろい根性

f:id:gallerynakano:20210818004202j:plain


「万年補欠で、3年間ボール拾ってましたと、胸を張って言えるような子どもをつくりたい」という高校野球の名将の言葉がある。

野球用語の「球ひろい」とは、練習グランド周辺に散ったボールを補欠や下級生が集めること。一見は理不尽なことのように思われるが、雑用によって精神を鍛えることで、責任を背負い義務を果たす能力が育まれていく。球ひろいは身心ともにステップアップのためにあるのだ。地味なことに真剣に取り組み、いろいろと工夫しながら没頭をすれば、何にもまして楽しい時間になるはずだ。元気のいいパフォーマンスは万物に影響していく。

美術家も同じこと。球ひろいを楽しむことで可能性が広がる。偉人や先人などなどの後ろに立って、こつこうと創作へのヒントを拾い集めてよう。自分らしい作品を求めて、その日その日にたゆまず努力していけば、独自の世界観で表現できるようになる。大切なことは、成果が上がろうが上がるまいが、作品制作の創意工夫をやめてはいけない。探究心はその人自身に存在意義をもたらす。創作へ情熱を燃やしていけるのなら、どんな境遇からでもやり続けることで、その過程の中で新たな魅力が生まれてくるだろう。