自由と我がまま

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福沢諭吉が唱えた学問のすすめの中にある「自由と我儘との界は他人の妨げをなすとなさざるとの間にあり」という言葉。このことを簡単に言うとしてら、自由と我がままの違いは他の人の迷惑になるかどうかがポイントだと言っている。そう、人は誰でも生まれながらにして、自分らしく自由に生きる権利を持つ。だけど、そのことを独りよがりな考え方で追求すると、そのうち他者の自由と衝突するかもしれない。しゃにむに押し通そうとしても、自己中心的な行動は暴走にしかならない。ただただ周囲の人を困らせるだけ。「自分の人生なんだから、どう生きようが自由でしょう」という発想は我がままの以外のなにものでもない。世の中をなめて甘い考えてやってしまうと、おうおうにして社会の迷惑になりやすいものだ。

つまり自由と責任はセットになっている。自分ひとりの自由気ままな行動は、周りの人に悪いしわ寄せを与えていく。自由とは自分の技能でコントロールできなければならない。行き当たりばったりにやっていくのは無責任なこと。いつも自分なりにルールをつくって、今やっていることで向上していけるように、自分自身を律することが大切になってくるのだ。いろいろな自由を活かしていくために、それをやり切っていく能力が備わって、初めて思ったようにできるようになるだろう。

ところで、美術家は自由を第一にしている職業だ。自分らしい表現を自由自在にするために、様々な感性を鍛えて具現化しようとする。新しい表現として、社会に役立つものを目指し、自分の可能性を掘り下げていく。自分の持つワールドを出し切るために、自分だけが知っていると思えることへ挑戦する。すべては自己肯定していくために、結果の有無より前へ進むことを重んじる。わずかでも前へ進めば、創作への意欲は高まっていく。自己との戦いに勝つこと。他者のことを嫉妬し邪魔しても何も良くはならない。人それぞれ個性は違うもの。だから脇目をふらずに自己を正しく見つめて、長所を活かせるように努力していこう!