努力義務

ここ最近、巷でよく耳にする「努力義務」。この言葉は法律の条文において「~するよう努めなければならない」「~努めるものとする」などと規定されることを指す。あくまでも任意で努力したとしても評価する絶対的基準がないため、「これをしなければならない」というルールではない。基本理念や目的を示し、その方向に沿った努力を促す時に使われている。

そこで、もし美術家を目指す人に「努力義務」を課すとすれば、どういうふうにすればいいのか。まず創作をするとは、美術家が創造者に値する活動を充たすべき能力を身に付ける必要がなる。そして、プロを目指す者はこの条件を最低限守るべきものだとして、この基準よりレベルを低下させないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。
この2つのことを意識していれば、美術に対して謙虚な姿勢で臨めるはず。豊かな表現力を求めて技術やセンスを磨くことから始めよう。とことん基礎を固めるために努力を繰り返す。つまり、やらなければならないことをやる。素晴らしいと言われる作品は、地味で面倒なことの積み重ねの上に成り立っている。黙々とこつこつと小さなことからやっていこう。