産婆術

哲学者ソクラテスが用いた問答法のことを産婆術という。これは問答を通して、相手の知識のあいまいさや矛盾を指摘し、無知の自覚を呼び起こすことによって、正しい認識を生み出すように導くこと。要するに相手が自ら真理に到達するのを助けるだけであるとし、ソクラテスの実母の職業である産婆の仕事にたとえて名づけた。

晩年のソクラテスは若者たちとの対話にこの産婆術を使って、豊かな知識や見識があるのにも関わらず、年長者としての上から目線ではなく、「それはどういうことなのか?」という質問などをしては、むしろ若者から教えてもらうことを楽しんでいた。自分とは違う着眼点や表現で答えが出てくるたびに、驚いてたり面白がっては次々に新しい質問を繰り返すのだった。

こうして若者はどんどん思考を深掘りしていくうちに、自分だけでは考えたこともなかったような発想、アイディアが生まれてくるようになっていく。自らの頭脳から様々な知恵が生まれてくることを実感して、もっともっと学ぼうという意欲を高めていったのだ。私もここまでのレベルは無理だけど、若者を成長させるために頑張ろうと思う。いつも問いかけて出てくる答えを面白がりたい。