路上観察

「気がつかないことを気がついた時の面白さってありますよね。見ているけど、気がつかないものを、気がつく面白さというのは、自分の中にまだ秘密がいっぱいあるというような」というのは、テレビ番組で芸術家 赤瀬川源平飄々と語った言葉である。

20代初め、年下で高校生の友人は、大人顔負けの知識と洞察力の持つ主。切れ味抜群の鋭い語彙力を使って持論を展開していた。当時、私は美術について何もかも未熟で知らないことだらけ。だから、彼はこの上ない家庭教師。いつもいろんなことを教えてもらい、赤瀬川源平も具体的なイメージをすぐに掴むことができた。

その中の1つ「路上観察学」はとても衝撃的。通常は見過ごされる都市の建築物をはじめ、街の風景を構成するものの中に、偶然生まれた美的なものを発見しては、ユーモラスのある視点から解き明かす。平々凡々の景色に潜む異分子は隠し味のスパイスのようなもの。じっくりと味わっていけば、アートと同じくらい心を潤わす効用がある。つまり、身の回りにあるものの切り取り方によって、不思議なものとして楽しむことができる。自分の眼で観ることこそが面白いのだという基本を学んだ。