老人力

赤瀬川源平の著書に「ふつうは歳をとったとか、モーロクしたとか、あいつもだいぶボケたとかいうんだけど、そういう言葉の代わりに、『あいつもかなり老人力がついてきたな』というふうにいうのである。そうすると何だか、歳をとることに積極性が出てきてなかなかいい」という言葉がある。

一般的に老いると言えば、身心の機能低下していくことを指す。だいたい40歳前後くらいなったら、多くの人は少しずつ無理が利かなくなって、もの覚えが悪くなったり動作が鈍くなるため、身体の老いこそが老いだと思うわけだが、それだったら体力任せに行動しなければいいだけ。ゆったりと心で触れることにギアチェンジして、量より質を求めて生きていけば、豊かさを味わえるだろう。

つまり、その時々にどれほど頑張ってみても、すべてで若々しく生きられることはない。いわゆる諦めるの語源は明らかにすること。ものごとの道理をハッキリさせた上で、その道理に合わないものを捨てて、今できること以外は諦めることで、最善を尽くすべきことが明快にしていける。だから、歳とって衰えたからこそ、得られるものがあると考えて、老人力を楽しみながら育むことが大切だ。