されどTシャツ

昨夏、Tシャツを企画してみようと考えたのは、世の中はまだまだコロナ渦で暗い雰囲気が漂っていたため、色鮮やかなTシャツで少しでも明るさを楽しんでもらいたくて、思い切って行うことにした。もちろん、Tシャツ展はいろんな形で開催されていて、特別新しいことではないものの、近年ギャラリーに集う作家たちの熱量が高いから、何ををすれば素敵な何かが起きそうな予感しかなかった。

そして、テレビ山口の情報番組の取材をはじめ、好意的にマスコミに取り上げられて、予想以上に大きな反響を呼ぶことができた。時代もアートに寛容的になっていることもあって、格式ばらないで気軽に触れるものに人々は興味津々なのだ。そんな手ごたえを感じたため、この夏も同様に企画してみたところ、アートTシャツとして成り立つように、積極的に挑戦する参加作家たちが増えてきた。

つまり、例えTシャツであってもアートの本質を求めていく。人それぞれピンとくる感覚が違うからこそ、オリジナリティのある世界を目指すことに意味が生まれてくる。何かすごいことをやらなくてもいいけど、チッポケなことでも個性的ものにこだわれば、不思議な感覚をコントロールできるコツを掴むことができるだろう。2年目はたかがTシャツ、されどTシャツと言うべき、本気さが目立つ作品展になった。