美術の虫

私が知り得る限り、末永史尚君とは美術の虫と形容すべき人物である。作品制作のためなら苦労をいとわない。実際のところはもがいて、苦しんで、袋小路に入っても、まったくぶれることはない。自分自身が納得して始めたことなら、どんなに手間がかってもやり抜いていく。

その論より証拠はこのたび開催中の「ギャラリーシマダ アーカイブ展」。約20年間の作品展から13件ほど選んで制作したミニチュアの模型。ギャラリー空間とその中に展示された作品を縮小サイズで厳密に再現して、当時のアートシーンをリアリティーの感覚で楽しませてもらえた。

しかし、とにかく彼の日常はとても忙しい。母校の大学教授として働き、その傍らで作家として創作活動もする。それに加えてシマダの調査研究をはじめ、各地で行わている展覧会を積極的に足を運ぶ。一にも二にも美術の道を真っすぐに生きている。「芸術家が名声を得るのは、決して幸運や偶然の力ではなく、真摯な努力と勤勉の結果である」というミケランジェロの名言がある。正にこの言葉が彼の創作人生を言い表している。