有名無名

その昔、美術家を「有名」「無名」で差をつけて言う人たちがいた。いわゆる世間に広く名が知られた作家が偉くて、知られていない作家を低く評価する人たちのことだ。なぜ、このようなことが起きるのかと言えば、当時の美術家が立身出世するには、美術公募展や美術団体に属して、著名な評論家などに抜擢されて、マスコミや美術専門誌によって、知名度を広めるしかなかったから。それ故に選ばれし数少ない「有名」と、大多数の「無名」という図式が一般的だとされていた。

それから時が流れてネットのツールを通じて、どんな人でもアピールが可能になった。また、世の中が国際化したことで価値観が多様化したため、これまでの一元的な評価方法では通じなくなる。これにより「有名」「無名」という考え方は時代遅れで、たしかに今もビックネームはいるものの、まったく無名な人なんて滅多にいない。つまり、世に出るハードルは低くくなり、誰でも知られるチャンスが広がったことで、作品制作を向上させるだけでなく、SNSで情報発信する能力も必須で、生き残るにはやるべきことが増えているのだ。