没頭

孔子が残した「汝の愛するものを仕事に選べ、そうすれば生涯一日たりとも働かなくて済むであろう」という名言がある。
この言葉は正しく美術家のためにある。なぜなら、常に作品制作に取り組めるのは、ただ好きなことをしているだけ。誰かに指示されてやっている訳ではないし、必ず作れば売れるものでもないから、対価を得ることを目的とした手段にもならない。いわゆる労働と呼ばれるものの条件を残念ながら満たすことのできない職業だと言えよう。
それ故、作品制作をしたことで働いたつもりになってはいけない。一般社会にはない自由の中で生きていることを自覚しよう。世の常識や規則に縛られずに、作品制作しているからこそ、新しい創造力へ挑戦することができる。つまり、美術家の実力は報酬で図ることはできないから、創作活動そのもので勝負するしかないのだろう。