ヒストリー

このたび個展を開催している中野寿子さんとは苗字は同じだけど血縁関係ではない。しかしながら、40年来の旧知の仲だから、親戚だと言っても過言ではない。とは言え、実際はまだまだよく知らないことばかり。特に知り合う前のヒストリーは、ざっくりとしたことしか知っていない。
昨日もちょっとした間に、若い時の寿子さんについて尋ねれば、知っていないことが次々と明らかになる。特に寿子さんが中学時代に漫画家を目指していた頃、担当教師の知人に同人誌を紹介されて、腕試しで投稿したところ、厳しい批評と温かいエールをもらって、俄然やる気が出て、甘えを脱ぎ捨てたエピソードは寿子伝説を語る上で掘り出しものだった。
いわゆる人生で初めて人に観られることを意識するようになる。自画自賛で他人の視線などお構いなしから180度方向転換していく。観る人を夢中できなければ、プロになれることはない。目の肥えた人たちを頷かすには、どうすればいいのかを考察するようになる。ここから本格的な創作人生が始まった。やる気だけでは不十分。いつも新しいことへ挑戦しなければならないという真理に目覚めたのだった。