その先よ

昨日のNHK朝ドラ「ブギウギ」では、梅丸少女歌劇団に入団したヒロイン鈴子が、劇団のトップで憧れの大和礼子に思い余って話しかけた時、礼子に「あなた、どうして踊っているの?」と逆に問いかけられ、そこで鈴子は「どうしてって・・・、踊りたいから」と答えたところ、「その先よ、これからは考えて生きなさい」と、諭すように言われるシーンがあった。
この言葉は同じ芸ごとである美術にも通ずるもの。美術家とは、いつも新しいものを発見するために生きている。新しいと言われるものとめぐり会うためには、何度も何度も作品制作を繰り返して、ようやく自分らしいものが育まれてくる。だから、基本的な能力を如何に向上させられるかが重要だ。それが上手く身に付かないと想像力が豊かに広がることはない。
つまり、「その先よ」は一見エレガントで美しく見える世界だけど、常に期待に応えるために、新しいパフォーマンスが求められてくる。プロの世界に生きたいのなら、精密な踊りだけでは不十分。どこまでも高い意識で芸を磨いて創造的であること。プロは観る人を奇抜な動きで魅了しなければ楽しますことはできない。そんな金言に触れられて学びになった。