この道より我を生かす道はなし

ひと昔前から褒めて伸ばすことを推奨する世の中になってきた。いわゆる小さな成功体験を評価することで、少しずつ自己肯定感が高まり、今ここを精一杯生きようと、自分らしく前向きに行動する力が湧いてくるので、適切なタイミングで褒めることは、人の成長に効果的だと考える風潮が高まったからだ。

とはいえ、何かするたびに褒められてしまうと、常に褒めてもらえないと不安になるため、自分が本当にやりたくないことでも、褒めてもらえそうのことばかりしていく。要するに自分が好きでやりたいことより、人からよく思われることを第一にすれば、いずれ他人の価値観の中に自己を埋没させるだろう。

中野寿子さんはそんな真理を早くから悟っている。自分の人生の進むべき道を決めるのに、誰の顔色もうかがわずに真っすぐに生きている。自分の人生は自分の価値観で自分らしく生きればいい。他人の価値観に合わせて、自分が幸せそうに見えたとしても、それは本物の幸せでないから、例え美しく見えても虚像でしかない。私は自分の志を実行するのみと、どこまでも我が道を進んでいく。