キャプション

いわゆる「キャプション(caption)」とは、タイトルや見出し、説明、字幕といった意味を持つ。また、美術館などの文化施設で使う場合は、作品のタイトルやミニ解説のことを指す。近年は主に展示作品に添えた説明文のことで何を意味するのかやコンセプトを明示することによって、鑑賞者へ理解を促すことために用いられている。

ところで、太宰治は「(小説の)読者はその説明文に頼り過ぎていけない。作品以外に説明文を熱心に読む傾向があるからいけない。とにかく、悪い癖である。作者だって、自作について的確な説明は、容易に出来るものでない」という名言を残す。嗚呼、なんて正直な人。言語化できないものを無理矢理言葉にしたところで誤解を与えるだけ。

とは言え、アートというのはとても懐の深いもの。その人がどう感じるかは自由でハッキリとした答なんてない。湧き起こる感情を如何に受けとめられるのかが大切になる。つまり、美術鑑賞は動物的な感性を頼りにするため、簡単に言葉に置き換えることはできない。自分は一体何が好きなのかは何の予備知識もなくわかるものではない。故にキャプションは必要になるけど、そのさじ加減を誤れば、感性は鈍化するだろう。