在るがまま

 

後先のことを考えずに物事を行う人のことを向こう見ずと言う。その具体的な事例を挙げるとすれば、美術家を目指して行動する人のことだったりする。なぜなら、自分ひとりの努力では上手くいかないから。言ってみれば、創作活動は自力だけでは不十分。他力が作用して支えてもらえなければ、様々な人の好意的な後押しがなければなれない。

要するに美術家かどうかについては、自分自身で決めるものではなく、周りの人が決めるもの。公募展へ応募する人が後を絶たないのはこうした思いの一つの表れである。如何にも美術家のような振舞い、ハッタリをかまして虚勢を張るのは言語道断。いつも最善を尽くして堂々としていれば、美術家だと信じてくる人と必ず出会えるだろう。

ただいま個展海中の臼杵万理実さんは、自分が何者でもいいという潔さがある。とにかく、大好きな絵を描くことができれば、どんな風に呼ばれても気にしていない。その理由はとても簡単。気が置けない仲間にめぐまれている。本音でビシバシ言ってくれるから風通しがいい。本当になんでもいいよね。絵が続けられれば、なんでもいいのだ。 ※画像は9年前に臼杵さんに宛てたお祝い文です。