汝の足元を掘れ

美術家になりたいのなら、その目標は先人偉人に追い付け追い越せと、一所懸命に創作に励んでいくよりも、昨日より今日は少しでも作品がましになるように、ぼちぼちやった方が確実に伸びてくる。なぜなら、異なるレベルの人物を目標にしたところで、比較する基準は曖昧なものになるため、成果は自己満足で全く当てにはならない。

それよりも自らの足元を見てみよう。ニーチェが残した名言「汝の足元を掘れ、そこに泉湧く」のように、物事の本質や真理は外ではなく、自分自身の内に求めていく。つまり、自分自身の気付きによって、美術への考え方が深まり、作品スタイルが磨かれて、創作活動の在り方が発展していく。日々にどう自分が発展できるかどうかを問うだけ。

要するに、昨日と比べて今日の自分を育てる意識を高めること。小さなことでも成長を感じられれば、才能を感じてやる気が湧いてくる。一つひとつ達成感を積み重ねることで、創造的な世界への意欲は盛んになるはずだ。ちなみに臼杵万理実さんと出会った頃、要約すると「昨日の自分を超えることが目標」と言っていた。もしかしたら本能で見抜いていたのかも。やはり野生の勘が働くから今がある。