身の丈

「我々は年をとることで老いるのではなく成熟するのだ」というのはピカソの名言だ。私は来年8月に還暦を迎えるので、とても共感できるいい言葉である。たしかに残念ながら肉体はどんどん衰えていく。だけど、これまでたくさんのことに挑戦して、いろんなことを経験してきた。それらを仲間とチームになって活かすことが成熟なのだろう。

そもそもギャラリーなんて、板子一枚下は地獄と言うべき職業。それが今日まで続いたことは奇跡としか言いようがない。ここ一番に様々な偶然に助けられて、ただただ運が良かっただけ。もちろん、自分の夢を信じて頑張って生きたけれど、道なき道を歩いて行くのだから、人生におけるひとつの偶然の積み重ねにすぎない。ラッキーの連続だ。

それ故、変なプライドは持っていないし、自信なんてものもあんまりない。しかしながら、ライオンハートは幸いをもたらす。なぜなら、美術は生き馬の目をむく世界。明日は新しい風が吹くのは当たり前。大胆不敵に行動すれば、臆病者に負けてしまう。小心者は虚勢を張らずに生きるから生きられる。おかげで若者とも上手く付き合える。老いても学び続けること。それが若さの秘訣になるはずだ。