度量

過去の県美展で大賞を含めて7回ほど入賞した際に授与された表彰状を作品にしてみよう。表彰状という公募展へ挑戦する作家にとって、作品評価を裏付ける権威の象徴を砕いて、ペーパークラフトで新しい価値観を創り出す。過去の栄光にこだわったり、未来へ楽観的になるのではなく、今にベストを尽くすために真っ裸になってやるしかない。

このたびの県美展で優秀賞を受賞した大村洋二朗君の作品「価値の更新」は、このようなコンセプトに従って、大胆不敵で常識破りの着想を具現化する。とにかくアートはやってみないとわからないことだらけ。自らの直感を羅針盤に攻めていった結果、最終審査の大賞候補2点まで選ばれる。しかし、もう1点の作品は彼から見ても優れていた。

だから、激しい議論の末に選ばれなくても平然とする。むしろ、現代美術専門の審査員が「一目見て圧倒的だと感じた」と言い放ち、一歩も譲らない態度を取ったことを称賛する。日頃は制作するうえでの技術的な熟練度よりも、作品に込められたコンセプトを重視する人に言うのだから仕方がない。こんな大村君の言葉は実に清々しい。そして、新たな創作に意欲を燃やす姿はエキサイティングだ。