断捨離

いわゆる断捨離とは、モノへの執着を捨て、不要なモノを減らすことにより、生活の質の向上や心の平穏、運気向上などを得ようとする考え方。ただし、実際にやり切ることは容易ではない。ついつい甘い誘惑に負けてたり、あれこれ雑念が湧いて横道にそれていく。本当に必要なものと向き合うことは、おいそれとは簡単にできないことだろう。

ところでこのたびの県美展で隋行奏子さんが応募した「《逃げる》」は、これまで自分自身が逃げてきた人生の節目の行事などを、28体の逃げる姿をした彫刻でコミカルに表現された作品だ。やや自虐的な切り口だけど、どうしようもない性分を上手く活かす。

この作品のコンセプトは世間一般の評価や勝ち負けから距離を置くこと。美術を本気でやる情熱があるから、我が道を熱い魂で明るく照らすだけだ。それ故「《逃げる》」なんてことにはならない。隋行さんは創作という困難に真正面から立ち向かい、自分にしかできない個性豊かな世界を目指すのみ。果敢に挑戦する者に運は訪れてくるはずだ。