顔向け

早いもので県美展は本日千秋楽。あいにくのお天気が続いてしまったものの、同展最年長の81歳で大賞受賞した井岡義朋さんが話題になったこともあり、ほぼ平年並みの人の動きで無事に幕引きできそうだ。これも波瀾万丈な人生を乗り越えて、創作をやめずに取り組んだ絵描きの情熱と飽くなき探求心の結晶が人々に伝わったのかもしれない。

それとも公開審査会の最終審査で大賞に選ばれなかったが「普段はコンセプトなどを重視する現代美術専門の審査員に、井岡さんの作品はパッと見ただけで響いて良いと語らせて、コンセプトを度外視して熱量だけで評価させたのは素晴らしい」と、審査結果に異論を唱えずに称えた大村洋二朗君のフェアプレー精神が良かったのかもしれない。

いやいやそうじゃなくて、実は開会式に直前に井岡さんとお話しした時に「たくさんの𠮟咤激励をもらった(彫刻家)故・田中米吉さんにこれでようやく顔向けができる」という思いを懺悔したことが良かったのだろう。ちなみに私はこの時に「顔向けができるようになったからって、急いで見せに行く必要はないですよ」と言って、明るい笑いを取りました。