個性を磨く

岡本太郎の著書に「ぼくのコミュニケーションに対して、賛成でも反対でもいい、応じてくれる人全部が、ぼくの友達だ」という名言がある。

その昔から美術作家と会って話してみれば、個性的な思考や感覚をしているので、一般社会の人たちにとって、普段では味わえない会話を楽しむことができる。いわゆる同じものを見たとしても、視点がほんの少しずれているだけで、まったく違った個性を見つけ出して、その思いもよらない独自性のある見解に心ときめかすことが多いからだ。

つまり、規格外の発想力の持ち主と語り合うと、新しい見識を得るチャンスになる。いつの間にか常識に飼い馴らされている頭脳に刺激を与えて、柔らかくしなやかなものへとしてくれる。だからこそ、美術作家は独創的な個性を持たなければならない。めぐり合う人々に豊かさを与えるために、いつも意識して個性を磨き続ける努力が必要だ。