石に花咲く

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その昔、「実際の自然豊かな風景は素晴らしいし、それを写真にしたら簡単に記録できるのに、なぜ、それをわざわざ絵にする必要があるのですか?」と尋ねられたことがある。たしかに、そう思われたいのはごもっとも。決して間違った意見ではない。そこで私なりに絵でないと味わうことができない世界があるだと回答した。どのような現実であっても、その人にとっては美しいと感じる破片がある。例えば本当は99%面白くないことでも、残りたった1%の良さを正しく表現できたのなら、その輝きですべては明るくすることができる。すべてが上手くいくはずなんてナンセンス。ほどんどが上手くいくことがないから、そうなった瞬間に心が熱くなって感動するものだ。つまり現実ではわかりずらい、絵にしないと表現できないものがある。だから美術という摩訶不思議な世界が存在できるのだろう。

3年前、尊敬すべき義兄が天に旅立った。どこか憎まれない愛すべきキャラクター。唯一無二の人物だけに多くの友人知人に惜しまれる。本当にやるせない気持ちで一杯になった。その喪失感は形容し難いものだった。それからしばらく経って、待ち望んでいた孫が誕生する。晩年、自分の余生を悟っていたのか、時々、早く見たいと言っていたことが現実になった。これを祝おう!孫を抱かせてやりたい!私の勝手な思いで絵にすることにした。親しいイラストレーターに画像や思いを語って、生まれた双子を抱いているシーンを絵にしてもらった。誰もかれもが喜んでもらえる絵ではないが、私にとっては絵だからできる素晴らしいものだ。今日は義兄の誕生日!還暦になっていた日。ハッピーバースデートゥーユー♪♪~~。今宵の満月のように丸く丸く天から見守ってください!