山登り

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もし、美大受験を何かに例えてくださいと言われたなら、高い雪山の頂上目指して挑戦することと同じだと答えたい。なぜなら散歩のついでに富士山に登った人はいない。運よく偶然にたまたま到達できる場所ではないのだ。つまり登る前に美術家になりたい大きな志や必要なものを準備していなかったら、道の途中で力尽きて挫折してしまうだろう。事前に辛くてもやるべきことをとことんやって、どのくらいの山なら登ることができるのかを試す。しっかりと鍛えておいて過酷な世界に備えることだ。ただし、若い時だったら伸びしろが大きいため、いきなり素質に目覚めて成長することもある。美大受験のプレッシャーで本能が目を覚まし、イマジネーションが生き生きと動いてくるもの。すべては美術家になりたい気持ちの度合いで決まる。強く願うことが大切だ。
そして、登るより下山(美大卒業)の時に真価が問われる。頂上へ行くことが完結ではない。登山して下山することが一連の動作。目指した山頂に到達した後、今度は無事に帰りつくこと。美大進学はできたとしても、下りること、自分の家(なりたい美術家)に辿り着かなかったら、登山することに意味が生まれない。わかりやすく言ったら、この下山という行動が実って美術家になれるのだ。山の頂上は目的地として最適な場所。そこへ行くためなら頑張ればできるかもしれない。しかし、下山していく目的地はそれぞれ自由。その人の個性が活かせる場所を求める。今の自分の実力を把握しながら、これからの行先を求めて、創意工夫するしかない。そう、豊かな下山こそが美しい。途中、アクシデントにもめげずに立ち上がり、美術家になれる場所へ向かって歩んでいくのだ。私は美大受験の意義はこういうことだと思う。これが正しいかどうかより、いろいろと考えることが面白い。なんでも想像していくこと。それに意味が生まれるはずだ。
■ギャラリーナカノ41周年記念 ヨーイ41 2019年3月22日(金)~4月1日(月) 11:00-19:00