全身全霊

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昨日、ひさしぶりに数々の武勇伝で知られるT先生が来店される。お顔は年齢を重ねてそれなりになったものの、その口調はいつものように元気一杯。旺盛なサービス精神で鬱蒼なこともユニークに語り、耳触りの良い明るい声が広がって楽しい時間になった。そんな老獪な先生から「もう少しで三途の川を渡るところだったんだよ」と、この半年間の闘病生活について赤裸々に語られる。偶然にも発見しづらい病気が見つかったため、運よく生きているのだと笑いながら言われた。症例が少ないのにすぐに発見して適切な処置を受ける。美しい連携があって命の炎が灯せた。本当に生命力のある方だ。ドラマチックな巡り合わせに感心させられた。
そして、この日の夕方、たまたまT先生の病気を発見した医師と出会う。そこで感謝しておられましたよと告げたら、「これはすべてご本人の生きる力ですよ」と言われた。なるほど、それもそうだ。どんな名医の手で施されても、本人に生きる意志がなかったら回復することは厳しい。さらに「これまでの生き様というのか、人生で養ってきたバイタリティーさがあるからこそ、どんな時も現実を受け入れて、そこで人生を一度リセットとして、今からできることに最善を尽くされたのだろう」と付け加えてくれた。
おおー、確かにあの高齢で約3か月近くも入院したら、そのまま寝たきりになっても不思議ではない。それなのに前向きにリハビリに取り組み、やや不自由になったものの、しっかりと自力で歩いておられる。きっと人生を最後まで燃焼されようとしているのだ。受け入れがたい現実に直面した時、投げやりになったり、もう駄目だと諦めてしまったり、いずれにしても自暴自棄になりやすいのが人間だ。年齢が年齢だけに白旗を上げてもいいのに、勇敢に残りの人生を全うしてやるという意欲に溢れている。生きることは本当に過酷なこと。だからこそ微塵の努力も美しい姿になって輝く。とても勉強になって心の中が充実した。この教えを自分の人生に活かしていきたい!ただ精進あるのみだと思った。