鉄火場

イメージ 1

どの業種でも才能を開花させるためには、現状の能力では乗り越えることができない、いわゆる壁と呼ばれるものとの出会いが必要だ。もうこれ以上はできません。そんな自分自身の能力の限界を知り、しかし、そうなっても少しでも上にいくには、どうしたら良いのかと知恵を絞っていくという、あえて困難に挑戦していく覚悟が生まれた時、それまでの自分と違う自分に変わることができるのだろう。ピンチはチャンスの始まりになるのだ!他の人との相対的な比較ではなくて、自己との純粋な戦いの中で鍛えていくこと。実はこの世にライバルなんてものは存在しない。あるのは理想としている自分になるために、どこまで自分を追い込めて成長することができるかだ。
美大へ進学するというのは才能を伸ばすための環境に身を置くこと。世間一般、娑婆とも一線を引いて、密封された純粋な場で鍛えることによって、美術という特殊な世界で生き抜くために、芽生えなくてはならない遺伝子を刺激するのだ。美術しかない生活に追い込まれて、さらに仲間たちと切磋琢磨していくことで、自分の殻を知らないうちに破ることができる。プレッシャーで抑えつけられて、辛く厳しい時間を過ごすことで、常識に負けずに自由になれるのだ。このまま幼い技術力や表現力では自分のひらめきも萎んだまま。このことに気が付くことで、卒業後も何をやればいいのかが、少なくてもイメージは持てるはず。美術家としてのスタートラインに立てたのなら優等生といっても過言ではない。つまり生活が丸ごと美術漬けになるために美大はある。美味しいパンを食べるより、美味しそうなパンを描くため、馬鹿みたいに努力させられる虎の穴。様々ことを身を持って学び、精神的な修養な場として、あるべきものが美大だと思う。
■稲田絵美 個展 いつの時代も 2019年4月28日(日)~5月5日(日) 11:00-19:00 定休5月1日(水)