無知の知

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無知の知」とはソクラテスが唱えた哲学の骨格となるもの。自分には知らないことがあると自覚し、 謙虚な姿勢で学び続けることが大切だとする。例えば、世界中にいろんな種類の美術作品があるため、すべてに通じることは不可能だと言っていい。だから見聞を広く求めれば求めるほど、初めて観るものとの出会いがたびたびある。それを恥ずかしいと後ろめたく思わず、新しく知った喜びを第一にすれば、美術の面白さは俄然大きくなってくる。これまでなかった触覚が芽生えて、別の視点から楽しむことができるだろう。

ところでここ数年、自分自身がよくわかっていなくても、手軽に携帯端末で調べられるようになったためなのか、「無知の知」の面白さをどこかで忘れている人を見受ける。いつの間にかメガデータを自由に閲覧できることで、自分はなんでもかんでも知っているつもりなのかもしれない。誰でも生きている限り、心が躍る発見と出会えるのは、初めて知った衝撃が胸に発生するからだ。つまり「無知の知」を意識して、世の中を謙虚な目で楽しむこと。日々、知らないことと出会ってワクワクするのだ。未知なものに心を動かして豊かな人生にしていこう!

■ギャラリーナカノ42周年記念展 よにたち、よにたつ 2020年3月14日(土)~29日(日) 11:00-18:00 火水定休